サン・ピエトロ・イン・ビンコリ教会

サン・ピエトロ・イン・ビンコリ教会
San Pietro in vincoli

 教会の名は、聖ペテロがエルサレムでつながれたとされる鎖(ウィンクラ)に由来する。教皇レオ1世がこの鎖に聖ペテロがローマで捕われたときの鎖を近付けたところ、両者は奇跡によって一つに繋がれたと言われている。
 最初にこの教会が建立されたのは、5世紀だが、15世紀半ばに修復され、さらに18世紀初めにフランチェスコ・フォンターナが修復した。ファサードは意外と地味。

ミケランジェロのモーゼ像
 バジリカ形式の内部の右翼廊にはミケランジェロ作のモーゼ像がある。
 これはシスティーナ礼拝堂の天井画をミケランジェロに描かせたユリウス2世の墓のためのものである。
 この墓は1513年にミケランジェロに依頼されたが、法王の死後、メディチ家から横やりが入ったり、何回もデザイン変更がされたりで難航した経緯がある。この経緯はそれだけでルネサンス時代の縮図を見る感じで大変におもしろいもの。興味のある方はその辺りの本を読んでみることを勧める。
 ユリウス2世はローマ出身でこの教会の大司教だったことからここに墓が作られた。
 かなり縮小した形にはなったが、ミケランジェロがデザインし彼自身が彫ったモーゼ像を中心とした墓がある。ダヴィデほど大きな像ではないが、ミケランジェロらしい力強い彫像である。


奇跡によって繋がったと言われる鎖
(金色の入れ物の中)

交通
地下鉄B線のテルミニ駅の次の駅で降りる。出たところに通っているカヴール通りを左に少し行き、南側にある階段を登ると教会前の広場に出る。2・3分で着く。さらにここからなら歩いて5分もしないでコロッセオに行ける。