バルジェッロ国立美術館

バルジェッロ国立美術館
Museo del Bargello

 1255年にフィレンツェ市の公共建築として作られた。1261年までは市民による軍事組織の隊長(カピターノ・デ・ポーポロ)の本拠地として使用。ついで行政長官(ポデスタ)の庁舎となる。ポデスタは、市民の代表として選挙によって選ばれる共和国でもっとも地位 の高い役人であった。
 16世紀にフィレンツェがトスカーナ大公国となると、大公によって設立された秩序維持のための軍隊が作られ、その長官(警察隊長)の館となる。(バルジェッロは古い言葉で、警察隊長を意味する)
 17世紀の終わり頃、トスカーナ大公家となっていたロレーヌ家が死刑を廃止しこの宮殿の中庭では拷問の道具が焼き払われたという。
 1860年トスカーナの(イタリア統一の)臨時政府がこの建物を国立美術館とした。
 建物に隣接して立っている塔は、ヴェロニョーナの塔と呼ばれている。この塔は1250年にラーポ・テデスコの設計で建てられた。つまり、館本体よりも塔の方が古い。
 この建物は15世紀、パッツィ家がメディチ家のロレンツォとジュリアーノを暗殺(ジュリアーノだけ暗殺)しようとした事件のとき、つかまった首謀者達が厳しい尋問を受けた所ともいわれている。
 中身は、ルネッサンス彫刻を中心とした美術館となっている。
 入るとすぐに中庭になっており2階に上がる階段がある。1階と2階には3方をルネッサンス風の柱廊が巡っていて美しい。

  美術館は3階まであり、ミケランジェロの作品として「ピッティの聖母」「ブルータスの胸像」「ダヴィデ/アポロ」「バッカス」(いずれも大理石の彫刻像)などがある。
 また、ミケランジェロの少し前のルネッサンス彫刻の大家、ドナテッロ「大理石のダヴィデ」「ブロンズのダヴィデ」がある。
 また、レオナルド・ダ・ヴィンチの師匠として知られるヴェロッキオ「ブロンズのダヴィデ」もある。
  その他には、アンマンナーティ「レダ(レダと白鳥)」サンソヴィーノ「ヴァッカス」、ベンベヌート・チェッリーニ作の「コジモ1世(初代トスカーナ大公)」がある。
 彫刻以外では、1401年のサン・ジョヴァンニ礼拝堂扉のコンクールの際、ブルネッレスキとギベルティが競作した扉の浮き彫りのパネル「イサクの犠牲」がありまた、日本ではあまり知られていない彩 色陶板という形式のデッラ・ロッビア作の「ふとんの聖母」がある。 これは当時のフィレンツェの人が特に愛した繊細で美しい作品である。

■美術館の開館時間
バルジェッロ美術館は、午後2時前には閉まってしまう。午前中に予定しておかなければならない。
●日曜日〜土曜日:午前8時15分〜午後1時50分まで

 
美術館の中庭
 
美術館の中庭と階段


 

見学
平日・日曜:9時〜14時
休館日:月曜